2013年、wyseの新たなる旅立ちとなるOriginal mini album『Surely in the mind』が完成した。 まだ見ぬwyseを模索し、自分たちの中から生まれる純粋な「今」という音を紡いだからこそ生まれた、 紛れもないwyseの最新作。
真っ白だったキャンバスを彩った6曲と、その6曲が完成させた『Surely in the mind』という作品の制作秘話を、メンバー自ら語ってもらった。

「Surely in the mind」

■月森
総体的な話はリーダーに任せるとして、俺はちょっと個人的な話をさせてもらう。
今まであまり思っていなかったというか、そんなに好みではなかった…というか、むしろちょっとコンプレックスな部分もあったんだけど、もしかしたら俺ってそんなに悪い声でもないかもと思えたミニアルバム。
今までと何が違うのかと言われれば自分でも何だろうって思うくらい歌い方に劇的な変化があったわけではないんだけど、変化したのは自分の意識や考え方なのかな…まぁそれは歌にとっては十分すぎる変化だけどね。

■HIRO
色んな新しい試みというか方向性が感じれるミニアルバムではないかと。
楽曲自体もそうだけど、アレンジや音色に関しても今回は本当に色々な新しい要素が詰まっています。
前回のオリジナルアルバム「Imaging」で再始動後のwyseの核になるものを示せたと思うので、今回はそこから多角度的に広げた世界観が出せればと思っていました。
出来上がった作品を聴いてみて思った通り、いやそれ以上に凄く広がりの出せたミニアルバムになったのではないかなと。
個人的に半ば実験的な要素もあったりして、楽しみながら作った作品です。

■MORI
前作『Imaging』が、それまでの経緯や「wyseらしさ」と呼ばれるものと向き合った作品だとすると、今作『Surely in the mind』は、今の自分たちが望む、これからのwyseを詰め込んだような作品。
未来への期待や高揚感に満ち溢れている。
再始動後、wyseという大きな傘に身を寄せ合っていた自分たちが、晴れ渡った空の下でその傘をたたみ、新たにwyseという種を一斉にまいたような、そんな感覚。
この『Surely in the mind』は、自分たちの純粋な感覚から生まれた自信作であり、自分たちの一歩一歩をwyseと呼ぶんだと感じられる一枚となった。

■TAKUMA
今回、制作に入るにあたって一番頭にあったのは「今までにない wyseって、どんなものだろう」でした。
それは、楽曲そのものであったり、その楽曲へのアプローチであったり、メロディーであったり、歌詞、詩の世界であったり
今、現在の僕達なりの予定調和ではないモノ
それが今作のポイントだったと思います。



01 L.A.S.P.U.P. -Unperformed Performer-

作詞:TAKUMA 作曲:TAKUMA


■月森
この曲がアルバムの入口なのはファンだけじゃなくて俺らも同じで、Surely in the mindはTAKUMAのこの曲からスタートした。歌詞もないデモの段階から歌うのが楽しみでしょうがなかったんだけど、実際歌ってみても凄く楽しい曲だった。
こういう曲でみんなが好きに踊り回ってくれたら嬉しいなぁ。許される事なら俺も歌そっちのけで客席で一緒に踊りまくりたい曲。いつかホントにやってやるw

■HIRO
幕開けに相応しい曲。デモの段階から既に完成度が高かったので、ほとんどいじってないかな。
プレイ的にはイントロからエンディングまでひたすらクリーンディレイで通した曲。
こういう形のは前に「evil news」でもあったけど、あれはかなり機械的なものをイメージしたものだった。
この曲に関しては同じようなディレイだけど、曲に合わせて抑揚をつけて感情を表現した。
微妙なミュート具合とか、どうでも良さそうなところに一番こだわったかな(笑)

■MORI
今作の制作に向けた曲出し期間の際に、TAKUMAが最初に出してきたのがこの曲。
デジタルのクールな印象の中にも広がりがあり、何かの始まりを感じさせてくれる。
まさに、今作の幕開けにふさわしい一曲。
ベースのスラップ、歯切れのいいメロディと言葉選びが心地よい。

■TAKUMA
「Surely in the mind」を作るにあたって、一番最初に取りかかったのが、この楽曲の制作でした。
イメージはあったんですが、逆に言えばイメージしか無かったわけで…。
イメージというのは、これまでに自分が触れるなり、何かしら感じたモノの余韻というか、そういったモノが大半だと思うのですが、今回は、本当に無をイメージするという、ある意味で矛盾のようなことの先にアクセスし続けていました。 リズム的なことで言えば、16ビートのややハネ。スクエアでも、完全なハネでもない独特で複雑なグルーヴ。個人的には、その感じが好みなのですが。そのグルーヴを紐解き、更に細かなグルーヴを生み出して、楽曲に心地良い波をいくつも起こしてくれている Toshiさんは流石ですし、本当に最高です。このグルーヴの感じで、この楽曲は生きていると言っても良いでしょう。
結果的には、かなり面白い、そして、カッコいい曲に仕上がったと思っています。
ライヴでは、盛り上がれる曲だと思っていますが… 。
これは昔から話をし続けてきていますが、こういうグルーヴの曲は2拍、4拍でリズムを取るのではなく 1拍、2拍、3拍、4拍のそれぞれの裏でリズムを取って乗ってもらいたいなぁと(笑)
09/01(Sun.)O-EAST 今から楽しみにしています。


02 The last prayer

作詞:MORI 作曲:MORI


■月森
今回のミニアルバムで一番疾走感のある曲かな。とくにサビの疾走感が心地良い。
デモの段階から独特な心地良さがある曲だなとは思ってたけど サビのメロディというか歌のリズム感なのかな、ほんとこの人センスあるよね。
というかMORIの歌詞ってちょっと皮肉っぽい事を書くくせにどっか優しいよね。

■HIRO
曲のテンポはそれほどではないけど、MORIの曲独特の疾走感が感じれる曲と思う。
でも、フレーズが忙しいのでしんどい(笑)、サビがバッキング系なのが救い。
でも、演奏していてとても楽しい曲である。

■MORI
「今のwyseがプレイしたら絶対に格好いい」と思いながら書き進めた曲。
メロディ先行で原曲はすんなり生まれたが、ビート感や疾走感だけでは終わらない曲にしたかった。
言葉選びは強めに、孤独を感じ取ることが麻痺してしまう世の中へのメッセージ。
体温の無いコミュニケーションに孤独を感じないことを、時代の進化と取るか、心の退廃と取るのか。
言葉が強めだから痛烈な批判にも取れるけど、サビは心の奥底へのエールにも取れる。
ボーカルレコーディングの前日に、歌詞を全編書き直して月森を困らせた曲(苦笑)

■TAKUMA
初めにデモを聞いた感想は「MORIっぽいけれど、MORIっぽくない」でした。
同時に、そこに彼なりのメッセージが込められているんだな、とも思いました。
イントロのアルペジオが印象的だったので、そこをもう少し強く出る、また残るように、あとは、サビの印象を更に高められないか、そこが僕にとって、この曲へのトライすべきポイントでした。
MORI的には大変だったかもですが、歌詞の書き直し、見つめ直しをしてくれたことで、より歌が聞こえてくるようになったと思うし、曲自体が強さを持ったと思います。
ギターが全面に出た、ザクザクとしたカッコいい1曲です。



03 Cold Echo

作詞:TAKUMA 作曲:TAKUMA


■月森
「君を忘れたい」この言葉に込められた思いはみんなにどう届くんだろう。
単純に歌詞を読むと痛いほどストレートな悲恋の歌なのに、自分で音源を聞いた時そういった感情だけじゃなく温かさみたいなものも感じた。なんでこんなにいろんな感情が混ざって聞こえるんだろう。
まぁ俺がそう歌ったからなんだろうけど、きっと昔はこんな歌い方したくても出来なかった。
俺もこんな歌が歌えるようになったんだって、ちょっと自分でも嬉しくなった曲です。

■HIRO
熱い系バラード。「Trust」とかに近い感じかのかな。
もう本当こういう曲大好き!
ただ、Aメロのコードが何気に難しい(笑)
ギターソロは心で感じるままアドリブで弾いたけど、うまく抑揚がつけれたと思う。
ライブで演奏するのが凄く楽しみな曲。

■MORI
歌詞の無い原曲の段階でも、楽曲のうねりや表情が想像でき、ドラマを感じさせてくれた曲。
レコーディングが始まり、その道標にToshiさんのドラムがのった瞬間、「ヤバいぞ、これは!!」とスタジオが沸いた。
楽曲のバイオリズムというか、楽曲の持つ呼吸に、全員の音、声が血肉となっていったような印象がある。
この感覚はCDにも十分詰まっているけれど、ライブでの更なる表情が非常に楽しみ。

■TAKUMA
「景色のある楽曲を残したいな」それがこの曲の始まりでした。
伝えたい事など、沢山ありますが、それは実際に聞いて、感じてもらって、そこから読み取ったり、分解していってもらえたら嬉しいです。
個人的には、かなり良いモノを wyseとして残せたと、そう思っています。
デモではいつも自分でピアノを弾き、楽曲を作っていくのですが…。
今回もピアノで参加してくれた裕太、そう、彼のピアノを最初の1音からイメージして作っていました。
仕上がり?聞いてもらえれば分かりますが、彼のピアノは僕のイメージの遥か先を奏でていました。
彼のピアノが、僕の描きたかったストーリーを完璧に彩ってくれています。
そして、この曲のギターソロもピックアップすべきポイント。
この曲の HIROのギターソロは、これまでの、どのプレイよりも最高だと、僕は思っています。



04 uninhibited

作詞:HIRO 作曲:HIRO


■月森
最近過去の曲に触れる事が多かったが、過去のHIRO作の曲に触れるたびに彼自身「ムズすぎるやろ!」とまずは文句から入っていた。
この曲が上がってきた瞬間。ああ、この人は懲りるという事を知らない本当のギター馬鹿なんだなって思ったw
そしてヒロ曲は大抵そのテンションに引っ張られるようにwyseの曲の中でもトップレベルのテンションで歌う事になる。
だからヒロ曲はライブで盛り上がる。でもこういう曲に限ってヒロ自身はプレイが大変だから動けないw

■HIRO
また面倒臭い曲を作ってしまったなと(笑)
イントロのフレーズからして難しいし、ギターソロはまぁ男のロマンだね(笑)
ライブを意識して作ったので盛り上がってくれると良いな。
自分は弾くのに必死だと思うけどね(笑)MORI!任せた!

■MORI
HIROの持ち味であるハードな楽曲の印象はもちろん、目の前の葛藤と突き抜ける強さが心に残る。
冒頭のポリリズムが複雑で、レコーディングの時に泣かされた(苦笑)
これだけスタイルの違う相方なので、双方の楽曲は、基本的に作曲者が全編リードを取ることが多い。特に彼の曲は。
なので、ライブでは自分が彼の分まで暴れます(笑)

■TAKUMA
初めてデモを聴いた時の一番の印象でもあったサビの勢いを残しながら、更にサビの抜け感というか、そこの印象を更に強く残せるようにというのが、この曲のポイントでした。
HIROの作曲ということもあって、ギターの強い芯のある曲だったので、ベース、リズムでどうこうと言うよりは、その印象も残せられたらと。
ただ、8ビートな曲ではありますが、単純な8ビートにはならないように、そこはそういう風に音には残しました。
イントロに関しては、ポリリズム。その他のブロックと区別するくらいに耳触りの違うモノを入れることで、この曲のハイライトを増やしたかった。単純にこういう遊びをちょくちょく入れてみんなで楽しんでいるだけとも言えますが(笑)
今回のはあまり難しくはし過ぎない、というのが前提にあったので、次回どこかのタイミングではみんなで難解なモノにチャレンジしてみたいですね。
楽曲として、ライヴ映えする曲だと思うので、みんなで熱く演奏したいと思っています。



05 Gestalt

作詞:MORI 作曲:MORI


■月森
この曲実はものすごく好きな曲。単純に好み。
イントロのフレーズとかちょーかっこいい。そしてそっから聞いた事ない程マニアックなAメロへ。
一度みんなもラララでAメロを歌ってほしい。何このメロディって思うからw
でも変わった曲なのにサビがやたら聞きやすくてノリやすい。
間違いなくモリのセンスが詰まった曲。ただ本音を言うと言葉遊びは程々にしてくれないと歌詞が覚えにくいw

■HIRO
一見MORIっぽくない曲だけどやっぱりMORIっぽさ全開の曲かなと。
Aメロの独特な雰囲気からのサビでキャッチーになるギャップとか、言葉遊び的な歌詞とかね。
MORIの言葉のチョイスは憧れるね。センスを感じる。
個人的にはイントロのフレーズとか音色とかが結構チャレンジ要素かな。
ノリやすいし、ライブで定番になりそうな曲だね。

■MORI
飛び道具的な感覚で作り始めた曲だが、サビはライブを意識して開けるメロディを持ってきた。
自然と出てきたわりにはAメロが特異。
サビとのギャップが生まれ、その異質感がこの曲の雰囲気にもなった気がする。
歌詞は大好きな言葉遊び。テーマは心理や錯覚、現象と本質、当たり前と呼ばれる認識の崩壊。
サビは特に言葉の音感を大事にしつつ、言いたいことを詰め込んでいった。
ギターソロは完全にアドリブなので、これから耳コピします(苦笑)

■TAKUMA
MORI作曲のイントロのカッティングが印象的な1曲。
デモの段階では、どこにでもいけてしまうような、そういう柔軟性というか、多面性を秘めた状態で,
MORIと話をしながら、あっちでもない、こっちでもないと繰り返しながら(笑)
最終的には、レコーディングスタジオに実際に入ってセッションをしながら骨組みを固めました。
なので、ドラムとベースはそのセッションのまま、アドリブと言えば少し好きじゃない響きですが、直感的に感じるままに弾いたモノです。
ギターが入り、月森の歌も入った後にそれを持ち帰って再度アレンジをし今の形に。
サビのメロディーが物凄くキャッチーだったので、それをよりピックアップ出来るように、また予想通りに転ばないようにする意味も込めて、MORIの持っていた世界に、僕の持っていた世界を組み合わせました。ある意味では、部分的に表と裏を逆転させたと言う方が表現的に合っているかもしれませんし、歌詞の世界ともリンクして面白いかなと。



06 Like sewing up

作詞:TAKUMA 作曲:TAKUMA


■月森
なんで奴はこんなにやさしい曲が思いつくんだろうね。
歌詞もそうだけど、メロディを聞いただけでやさしいなって思えたのがほんとにすごいと思った。
そして俺もそういう歌が歌えた。こんな名曲はそれでもう十分ではあるんだけど でもきっとこの曲が持つパワーはみんなで一緒に1つの空間を作った時に感じる事が出来るんだろうな。
この曲でみんなと繋がれる空間は想像しただけでも幸せな気持ちになれる。

■HIRO
「名曲」その一言に尽きる。
曲調としては、今までありそうでなかった曲かな。
これまでのwyseが進んできた道、そしてこれから進んで行く道、全てが表現されているように思える。
皆で一緒に歌いたいね。

■MORI
あまりこういうことをメンバーに伝わる場所で発言することは照れ臭いが、この曲は純粋に名曲だと感じる。
Retake Album『TREE –Evolve-』のギターレコーディング中に、TAKUMAがソファでギターを弾きながら、この曲の原型を口ずさんでいたのを覚えている。
良いメロディだなと感じてはいたが、デモとして手元に届いた時には何倍もの力を持っていた。
そして歌詞が生まれ、「今 君の心を 僕の心で縫い合わせるように 補ってあげられたら」と月森が歌った瞬間、『Surely in the mind』の担っていた今の自分たちが望む、これからのwyseが詰まった作品としての立ち位置が明確になったような気がする。

■TAKUMA
ずっと、僕の中にあった1曲。
どこで、誰が、どのように歌い形にするのかな?っと思ってきましたが、現在の月森なら、現在の wyseならと音を形にすることを始めました。完全にピアノ曲ですが、裕太がサポートしてくれているとは言え、しっかりと、いわゆるバンドサウンドで音を鳴らし、組み立てられているのも現在の wyseだからだと、僕は思っています。