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再始動後初のアルバムとなる『Imaging』。未来を見据えて、新たにライブの軸になる作品を作りたい。
オリジナル・フルアルバムとしては、7年ぶり5枚目となる今作は、同時にファースト・アルバムでもあるとメンバーは言う。
このアルバムから作り出される新たな第一歩をより深く知るために、10曲の制作秘話をメンバーに聞いた。



01.Imaging brain

作詞:TAKUMA 作曲:TAKUMA

Texte alternatif

"想像しえないものは、理解することができない"
新たな道を歩き始めるときに、wyseが伝えるべきことはなんだ? って考えたときに最初に生まれた曲。

再始動を印象づける勢いのある「Vision」「To Shy」の2曲をリリースした後に、本格的にwyseが伝えるべきことはなんだ? って考えたときに生まれた曲。

"想像しえないものは、理解することができない"

何年前かな。脳で使われている部分は、たった数パーセントで、あとはほとんど機能してないって話が流行ったでしょ。そういうことを僕らの言葉で伝えたいと思ったのが最初。自分たちで考えたり、イメージしたことだけが現実になるんだってことだよね。イメージできないことは、それに対する質問さえ浮かばない。何をどうしていいのかきっかけさえもつかめない。俺たちが、弦楽器を従えたライブをする。再結成して1年でアルバムをリリースする。具体的にどうしていこうってことじゃなく、"こういうことがやりたい""こうしたい"ってことをイメージしたからこそ出来たことだと思ってるから。

いちばん大事にしたのは、ビート感。サイエンス的な空気を感じてほしかったから、最初からデジタルを使おうと思ってた。それが決まったら、歌詞も月森との掛け合いも、すごく自然な流れで出来上がったよ。

でも、最終的には俺と月森が入れ替わりながら交互に歌うことで、どっちが何を伝えるってことじゃない、アプローチの方法ができたのがおもしろかったね。

ただ、僕はこれを1曲目にするつもりはなかったんだけど、楽曲のインパクトを考えたら、これを1曲目にするのがいいんじゃないかってスタッフに言われて、なるほどと思って。そのおかげで、このアルバムでwyseが何を伝えたいのかが明確になったんじゃないかなと、今は思ってます。

(TAKUMA)



02.かわれない二人

作詞:TAKUMA 作曲:TAKUMA

Texte alternatif

80年代のバンドサウンドに乗せて、"かわれない二人"について歌いたかった。
なぜ、そこが漢字じゃなくひらがななのか。考えながら聴いてくれたら、そこに答えがあるように作った1曲。

これを読んでくれてるファンの子たちなら、この歌詞が、どういうことをさすのか、たぶんわかっちゃってると思う。
まず、“かわれない二人”っていうのは、俺と月森。
お互い代役はきかないよねってことを言ってるのと同時に、何年経っても変わらない、変われないヤツらだって意味もある。そして、この先も、変われないし、代われない。
いい意味でも、どうしようもねぇなって意味でも(笑)。
それを、そういうバンドサウンドに乗せたて歌いたいと思ったんだよね。具体的に言えば、バービーボーイズやパーソンズのような感じの。歌詞を衝動的な部分に寄らせた分、少し粗さの残るグルーヴ感を出すことで、言葉が生々しく伝わるんじゃないかと思って。
歌に関しては、月森に任せたけど、歌詞は、あいつが女形になるように書いた。だから、最初は、男女の関係を歌ってるんだろうと思った人がほとんどだったと思う。でも、よく聴いたら、何か違う。そうか、そういうことかって気づいてくれるような仕掛けを散りばめておいたつもり。
あと気に入っているポイントは、MORIのギター。彼は、カッティングタイプのギタリストだと思ってる人も多いと思うけど、こういうソロを弾くことはこれまであまり無くてね。このソロはすごくカッコいいと思う。80年代後半のバンドサウンドをすごく引き締めてくれたなと思ってます。
(TAKUMA)



03.To Shy

作詞:TAKUMA 作曲:TAKUMA

Texte alternatif

シンプルだったデモをスタジオでライブ感あふれるアレンジに変化させていった。
ライブで聴くことで、より力強さを感じられるように歌詞のインパクトさも心がけた。
「これが最後だ」という問いかけの曲。

「Vision」が再始動一作目に決まってから、もう1曲いるよねってことで、すぐ後に作った曲。インパクトは大事にしつつも、印象に残るフレーズやメロディを大事にしていこうって考えてたかな。ライブでガッと盛り上がれるような。
実は、こういう曲の方が作るのは難しいんだよね。“暴れようぜ”って曲を作るのが、案外苦手なのかも(笑)。だから、デモは、ものすごくシンプルだったよ。それをスタジオで、みんなで作り上げてったって感じ。ドラムも、デモから考えたまったく違う方向に進んだからね。TOSHIさんのおかげだよ。
ただ、勢いだけにならないようにBメロには、メッセージを乗せた。
“ずっと神様のこと信じてきたのに、なんで助けてくれなかったの”“何を言ってるんだ、何度も助け舟は出した。それを、今はタイミングじゃない、これは違うと、その船に乗らないことを選んだのは君だろ”って話。
共感してほしくて書いたんじゃなく、これが最後だ。というメッセージを受け取ったら、君はどうする? という問いかけの曲だね。
(TAKUMA)



04.Shiny

作詞:HIRO 作曲:HIRO

Texte alternatif

せっかくなら、今までとまったく違ったテイストのものに挑戦したいと思った。
曲調に比べてBPMは遅めなんで、ノリはいいんだけど、言葉が強く入ってくる曲だと思うから、キャッチーな方向性に持っていった。

最初に作ってたのは、ハードロックテイストで、個人的にはそっちでいこうと思ってたんだよね。でも、みんなから“もう1曲別の方向性で”ってリクエストをもらって、せっかく7年ぶりにフル・アルバムをリリースするなら、たしかにまったく違う方向性のものを出すのもおもしろいなと思ってたし、自分としては、新しいこともしてみたいなと思ってたんで、この曲を持っていって。
メンバーからは、かなり斬新って言われたけどね。
いつもと違うスタイルで作るべきだと思ったんで、ギターリフじゃなく、あえてメロから考えて。鼻歌でフンフン歌いながら作ってった感じ。
プリプロで、だいぶ変わったけど、テイストはまったく変わってない。
「Shiny」という言葉も、メロディを作ってるときからキーワードとしてあったし。
実は、曲調に比べてBPMは遅めなんで、ノリはいいんだけど、言葉が強く入ってくる曲だと思うから、できるだけキャッチーな方向性に持っていった方がいいと思ったから、“Shiny”って言葉が最初に浮かんで、そっちの方向に歌詞を寄せていったんだよね。その結果、すごく季節感のあるポップなものになりましたね。
アルバムの中では、異色な1曲になって、しかもそれが俺の曲だっていう意外性を楽しんでもらえたらいいんじゃないかな。
(HIRO)



05.やわらかな光

作詞:MORI 作曲:TAKUMA&MORI

Texte alternatif

“大切な人がいなくなる”というせつない想いを描いたバラード。
MORIとTAKUMAが、スタジオで紡いだショートナンバー。

これは、MORIとの共作。
今回は、ふたりで作業することが多かったんだけど、あまりにも勢いのある曲が多すぎて、せめてあと1曲バラードが必要だろうって思ってたら、MORIも、まったく同じことを考えたらしく、だったらってことで一緒に作り始めた曲。
スタジオで、俺がエレピ、MORIがアコギを弾きながら、“夏の草原”ってテーマに、お互いに思いついたメロディやフレーズを弾いてって感じで作ってった。これは、かなりおもしろかったね。
しかも、こういう曲調の歌詞は俺だと思われてるだろうから、あえてMORIにお願いして。
ただ、MORIが思い描く「やわらかな光A」のストーリーがあるんだろうけど、そういう話はしなかったんで、僕は僕なりの「B」というストーリーで解釈して、月森は月森の「C」で歌いましたね。その空気感を出すために、ギターを真ん中にして、左を俺、右を月森にした。それぞれが自由に歌うことで、ブレスのタイミングや語尾のずれを楽しんでもらえたらいいかなと思ってます。
(TAKUMA)

TAKUMAと一緒に曲を作ってたときと歌詞を書いたときのテンションが違ってたので、多少の色味の違いはあるかな。
大切な人がいなくなる。という、すごく個人的な出来事を描かせてもらった。
だから、この歌詞の説明は、メンバーにもしてないんだよね。言葉も短めになってるから、全員がそれぞれの解釈で言葉やサウンドを作り上げてるんだと思う。それが、逆におもしろいんじゃないかなと思ってます。
(MORI)



06.Vision

作詞:TAKUMA 作曲:TAKUMA

Texte alternatif

再始動一発目の「PRIVATE DISC」としてリリースされたナンバー。
インパクトだけを考えて作った1曲らしく、バンドとしての初期衝動がつまったナンバーに仕上がってる。

再始動のタイミングで、絶対的なインパクトが必要だと思って作った曲ですね。
何度も話してきたけど、“wyseらしさ”ってのは、人によってまったく違うから、アッパーなものを作っても、バラードでも、なんか違う。だったら、今の俺らの衝動をそのままサウンドにしようって思って、とにかくインパクトを大事にして作った。Bで掛け合いにしたり、サビ毎に転調させて印象を変える作りにしたのも、インパクトを狙ってのこと。
だから、あえて何曲も持っていかずに、この曲だけ持って行ったんだよね。
これに全員が“いいね”って言ってくれたことでも、俺らは同じ方向を向いてるんだって再認識できた部分でもあったかな。
“愛してる”というキーワードは、もちろんwyseというバンドに向けて書いたものだけど、それは今の時期だから、そう感じることであって、時間が経って感情がそぎおとされたときに、ラブソングとして受け入れてもらえたらいいなと思ってる。
(TAKUMA)



07.LOSER

作詞:MORI 作曲:TAKUMA&MORI

Texte alternatif

“目の前にファンのみんながいることを考えて作った”
MORIが作ったリフとTAKUMAのサビを合体させて作り上げたライブ感あふれるナンバー。

この曲は、「Vision」のレコーディングのタイミングには、すでにあって、サビ以外は、ほぼ同じ形だったはず。
アルバムのレコーディングのタイミングで、マネージャーが、“この曲のイントロのリフがいいから、そこだけ残して作り変えてみない?”って提案してきて。けっこう時間的にも厳しかったから、どうしようって思ってたら、ちょうどTAKUMAが宙ぶらりんになってるサビがあるってことで合わせてみたら、奇跡的にキーが一緒だったんだよね。
その場でガーッと作り上げるみたいな作業は、昔はよくやってたけど、久々に楽しかったよ。ああ、バンドなんだなって、改めて思った瞬間だった。
歌詞は、TAKUMAの作ったメロが客席とステージを一体化させるようなものだったし、作りながら“ウォウウォウ”言ってたから、わざわざほかの言葉をはめ込む必要もないだろうってことで、そのままにして。それ以外の部分は、目の前にみんながいることを考えて、とにかくひとつになろうって気持ちで作った。
(MORI)



08.ALONE

作詞:TAKUMA 作曲:TAKUMA

Texte alternatif

TAKUMA渾身の6分に及ぶバラード。
いろんな方向性から考えることで、解釈の変わる1曲として楽しんでほしい。

6分ね。長いよね。長いけど、これはもうしゃーない(笑)。
実は、これでも少し短くしてるぐらい。だから、構成がちょっと変なんだよね。Bが1回しか出てこないとか。でも、1番と2番では表現したいことが同じじゃなかったから、これがベストだと思ってる。
歌詞はね、再結成後1枚目のアルバムってことで、絶対にバンドのことを歌ってると思うだろうってことはわかってる。もちろん、そう受け止めるような言葉も入ってるからね。ただ、そうじゃないテーマも持ってないと、今しか歌えない曲になっちゃうからね。このタイミングを越えたときにも、ちゃんと聴いてもらえるような“始まりと終わり”という部分もしっかりと組み込んだつもり。
1番では、Aメロが2回リピートしてて、歌は若干 LRにしてあるんだけど、サウンド自体はモノラル。Dメロで転調して、クライマックスまでの広がりのある展開をちゃんと聴いてもらえれば、この曲が本当に伝えたいことが見えてくると思ってる。
年代によってわかることってあると思うから。昔の曲が、今になってわかったことがあるっていってくれる人もいるし、逆に僕にはわかってないことをわかってる人もいるかもしれないからね。いろんな方向性で考えてほしい。
(TAKUMA)



09.Faraway

作詞:MORI 作曲:MORI

Texte alternatif

歌詞は、wyseとしての意思表明。
“あがいて、あがいて、そして前に進むよ”ってことを伝えるために作ったwyseのMORIらしい1曲だと思ってる。

言ってしまえば、“俺らしい”だけで終わらないものを作りたかった。
7年の間に、いろんな音楽と触れてまったく違うサウンドを奏でてきた俺にとって、これは“昔好きだった音”だったりするから。こういう音が好きだと思った感覚は、ここ数年味わってなかったんで、無理矢理上げて作りましたね。そのときは、それが必要だと思って呼び起こして作り始めたんだけど、やってみたら案外すんなりと気持ちよくなれて。逆に、そのことにびっくりもしたよね。
そこまでして、こういう曲を作ってみようと思ったのは、世代が違う子らと音楽を通じて交わったりしていく中で、彼らが“カッコいい”と思う曲を俺は通過したんだなって思ったからなんだよね。だったら、今の俺がそういう曲を作ったらどうなるんだろうってことで生まれたのが、コレ。
今は、ほかにも挑戦してみたいことがたくさんあるから、この路線をやり続けるつもりはないけど、すごく自然に自分の一部として受け入れられたのがうれしかったですね。
歌詞は、俺なりのwyseとしての意思表明だと思ってくれて構わない。
“あがいて、あがいて、そして前に進むよ”ってことを伝えるために、キーワードを詰め込んだ感じかな。俺にしては、かなり歌詞に時間がかかった曲。どういう言葉で伝えていいのか、どの言葉でなくちゃいけないのか、すごく悩んだ。でも、その結果、すごい疾走感が出た気がする。ライブで突き刺さる1曲であればいいかな。
(MORI)



10.NO MORE CRY NO MORE BLUE SCENE

作詞:TAKUMA 作曲:TAKUMA

Texte alternatif

歌詞は、wyseとしての意思表明。
“あがいて、あがいて、そして前に進むよ”ってことを伝えるために作ったwyseのMORIらしい1曲だと思ってる。

「I Believe」のサイドストーリーとしての1曲。
共通はしてるけど、それぞれ違う意味を持つことで、未来へとつながる1曲になっていけるようにという想いを込めて作った。

「I Believe」のサイドストーリーにできたらおもしろいなと思って作り始めた曲。
歌詞で意味合いを似せたりしても、テーマが違うことで、うまく(サイドストーリーに)たどり着けないかもしれないなと思って、だったら、もっとわかりやすいアプローチはないかなって考えたときに「I Believe」と同じ文節を持ってこようと思ったんです。そうすることで、違う言葉を歌っていても、メッセージとしての意味が深くなるなと思って。
俺は、空と海がつながると信じてたけど、違うのかな。
でも、僕らは、まだ信じてるし、またあの景色を見たいんだ――っていう想いを描いてる。
気持ちがすごく強い分、音はすごくシンプルになったね。
ギターソロの入りは、シーンが変わるようなポイントになってるけど、あとは、すごくライトだしね。そこが、いいなと思ってる。
ファーストらしい初期衝動がつまったアルバムになったと思うけど、そのラストを飾るのは、この曲にしたいってことはメンバーにも伝えた。それぐらいの想いを込めた1曲になってる。
だから、「I Believe」を知らない子が、これを聴いてから遡って聴いてくれたりしてもおもしろいなと思うよ。このアルバムの曲たちも、過去の曲も、そうやって巡っていってくれたらいいなと思ってる。
(TAKUMA)